「ミトコンドリア」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。「ミトコンドリア」は、エネルギー産生などに重要な役割を担う細胞内の小器官です。このミトコンドリアは糖代謝にも大きく関わっています。高血糖や肥満、遺伝要因などにより、肝臓、骨格筋、膵臓などのミトコンドリアの中で、細胞に傷害を与える「活性酸素」が増えたり、ミトコンドリアのエネルギー産生が減ってしまうことで、膵臓ではインスリンの分泌が低下したり、肝臓、骨格筋等ではインスリン抵抗性(インスリンの作用が低下)が形成されたりして、2型糖尿病が引き起こされると考えられています。このミトコンドリア機能障害を改善させる糖尿病薬「イメグリミン」は2022年9月より長期処方が可能となり、当院でも有効と思われる方に処方しています。一方、ミトコンドリアのエネルギー産生に関わるものに、5-アミノレブリン酸(5-ALA)がありますが、この5-ALAが、ミトコンドリアのエネルギー産生傷害によるインスリン分泌障害を特徴とする「ミトコンドリア糖尿病」に対する耐糖能への改善効果が確認されたとの報告がありました(Diabetes Therapy 2022 Nov 22)。今後も「ミトコンドリアと糖代謝」について注目していきたいと思います。(院長)